椛島農園

【 椛島農園のこだわり - 平飼い卵編】

椛島農園のこだわり
平飼い卵編

【 平飼い卵に対する4つのこだわり】

こだわりポイント①

一坪あたり8羽以下。光と風が通る鶏舎で平飼い。
鶏にとって、ストレスの少ない飼い方をしています。

椛島農園では、200羽ほどの鶏を飼っています。200羽と言うと「えっ、そんなに沢山!!」という印象を持たれる方も多いですが、一般的な養鶏場と比べると、ごくごく小規模な、ミニマム規模です。

「人間が食べるために飼っている家畜も、せめて生きている間はのびのびストレスが少ない飼い方ができたらいいなあ」というアニマルウェルフェアの考え方がヨーロッパを中心に普及してきています。この考え方に沿って、椛島農園では、鶏をケージ(かご)に入れずに地面の上を自由に動けるようにして、1坪当たり8羽以下という密度で飼っています

卵の生産は、効率を重視して機械化し、少人数で何万羽を飼育するという効率的な管理方法が一般的です。どうしても「三密」的な環境になってはしまいますが、そのおかげで卵は長年「価格の優等生」と呼ばれ、日本の食卓を支えています。

ただ、そういう一般的な飼い方をされた鶏の卵だけでなく、いろいろな飼い方をされた鶏の卵を消費者の方が選べる世の中であったら素敵だなあ、と思います。うちのビニールハウスのパイプを利用した手製の鶏舎は、壁4面の金網越しに光と風が入るようにしています。地面には、もみ殻やおがくずを敷き詰めています。鶏糞と混ざって発酵し、臭いはほとんどありません。

畜産の環境は、自然環境とは異なるのはわかっていますが、少しでも自然に近い環境をつくり、生命力みなぎる鶏たちであってほしいと思って育てています。

そのおかげか、とてもプリプリした卵を産んでくれます。特に産み始めの頃の若い鶏たちが産む卵は、なかなかにすごい弾力です。

また、鶏が病気になって薬が必要になったことは、鶏を13年間飼ってきて一回もありません。若い雛の時にかかりやすい肺の病気があるのですが、流行りそうになった時は、ニンニクや酢を使います。150羽の群れのうち、弱い数羽が死ぬことがありますが、それは可哀そうですが仕方がないことだと思っています。

弱い個体が死ぬことを受け入れるという事は、人間に当てはめると人権という観点からはちょっと危ない思想になりますが、「自然に近い形での畜産」を目指すのであれば、やむを得ず、という考えです。いろいろな意味でのバランス感覚を大事にしながら、鶏たちがストレス少なく暮らしていける、という養鶏を目指しています。

こだわりポイント②

こだわりの「100%国産の材料」を自家配合。
野草や無農薬野菜を食べた「レモン色」の卵です。

一般的な養鶏では、トウモロコシを餌の主原料としているところが多いです。これは、鶏に限らず、豚でもそうです。また、本来草しか食べない牛ですら、どうしても畜産の現場では乳量を増やしたり、肉にさしをいれたりするためにトウモロコシを食べさせます。これもまたいいも悪いもなく、生産現場は消費者の需要に応えていって生活しています。

ひとつ気がかりなのが、そのトウモロコシが、ほぼ100%輸入ということです。それも、その9割以上をアメリカに頼っているのです。輸入のトウモロコシは国内で生産するのと比べると圧倒的に価格が安いというメリットはありますが、安定供給や遺伝子組み換え、船での輸送時に必要となる強い農薬のことなどを考えると不安を感じられる方も多いと思います。それに、アメリカとの信頼関係が急に崩れるとも思いませんが、将来も大丈夫かなあ、という気もちょっとします。

椛島農園では、トウモロコシの代わりに、小麦や大麦、米を使っています。いずれも熊本県産の物を、購入しています。カビやネズミの害が無いように、タンクに密封して保管しています。ほかにも、熊本の大豆や、阿蘇の米ぬか、鹿児島や熊本の漁港で水揚げされたカツオの鰹節やイリコ、長崎の塩、広島の牡蠣殻など、国産の材料100%を自家配合して餌を作っています。

日本中の鶏全てにうちのような国産のこだわりの餌を与えようとすると、餌が足りずに飼育できる羽数がとても少なくなってしまいます。国産の餌が理想なのは分かるけど、なかなか難しいのが現実です。なので椛島農園ではまずは自分が子供に食べさせたい、ということの延長で、求めてくださる方に食べていただければいいな、という感じでぼちぼちと養鶏を続けています。

鶏舎の床に敷き詰めたもみがらやおがくずは鶏糞と混ざって発酵して良質のたい肥となり、野菜やお米を育みます。そしてまた、検品ではじいた野菜(全部無農薬です)や田畑や道端の野草・雑草も餌となります。それはそれは美味しそうに食べます。循環の美しさを感じますね。

ところで面白いことに、鶏の卵の黄身の色は、食べた餌の色で決まります。トウモロコシを主原料とする餌と比べて、小麦や米を主原料とする餌だと、どうしても色が薄くなるのです。

そして、なぜか日本人は赤みが差している気味の色が好きな方が多いという理由で、市販の卵ではよく赤みを強くするための色素を餌に入れています。昔は化学合成されたものが中心だったそうですが、今は「パプリカの粉末」「カニ殻」などを使っている卵もあると聞いています。

うちでは、草や緑の野菜を多くあげられる時期には、少し色が濃くなります。でも、一般的な卵ほどには濃くなりません。色を濃くするため資材も全然悪いものではないですが、当然コストもかかりますし、うちでは必要ないや、と判断しています。

そんなわけで、うちの卵はちょっと黄身の色が薄めです。でも、「薄い」と言うとちょっと残念な感じがしますが(笑)、いやいやよく見ると、実にきれいな「レモン色」です。レモン色には、いろいろな背景があるということをイメージして手に取っていただけると、嬉しいです。

こだわりポイント③

生命のエネルギーが宿る「有精卵」です。

鶏という生き物の、人とのかかわりは長く濃いです。野生の原種である野鳥は、その名の通り赤色野鶏という鳥で、東南アジアの森の中に今でも生息しています。世界各地で品種改良されながら伝播していき、古代エジプト時代の記録にはすでに鶏を飼ってていたことが書かれています。

鳥というものは年に7-8回も卵を産むというハトのような例外を除いて、どの野鳥も春~初夏の繁殖期に1-2回数個ずつしか卵を産みません。それに比べて、畜産で飼われている鶏は、なんと、年に300個くらいは産みます。そして、不思議なことに、鶏は、交尾をしなくても卵を産みます。人が数千年かけて行ってきた品種「改良」のすごさを感じます。

卵の生産だけを考えた場合、交尾をしなくても卵を産むという事は、雄を飼う必要が無いという事になります。オスは体も大きく餌代もかさみますし、鳴き声がとても大きくて住宅が隣接するところでは迷惑となるほどです。なにせ、日の出の3時間前から大声で鳴くのです(笑)。

なので、一般的な養鶏場の場合は雄を飼うことはありません。一方で、椛島農園のような平飼養鶏では雄を飼っているところが多いです。それはなぜでしょうか…。その理由は養鶏農家さんによっていろいろでしょうが、うちの場合では大きく二つあります。

一つ目は、卵が「有精卵」になるからです。21日間、4時間位おきに卵の向きを変えながら、40℃ほどの温度で21日間温め続ければ、ひよこが生まれます。文字通り、生きた卵です。有精卵を食べるという事は、極めて感覚的な表現になりますが、文字通りに命を頂くこと、生命力を自分の体に宿すこと、なのかもしれません。

二つ目は、群れが安定するから、です。ゆったりとした鶏舎で飼うといっても、野生の状態と比べたら密になります。それはもう仕方がありません。なので、もちろんあまり言いたくはないことなのですがそれなりに鶏同士のけんかもあります。若い時はいいのですが、だんだん弱い個体がつつかれたりします。そこで、雄を一緒に飼うことで、群れに秩序と安定感が生まれて喧嘩やつつきあいが減るといわれています。

余談かもしれませんが、一般的な養鶏では、つつきあいが起きないように、くちばしの先端をひよこの時に焼き切ります。うちでは、それを行っていません。物をつついて食べるという行為は、鶏のストレスを減らすためにとても大事なことだからです。人参でもキャベツでもさつま芋でも、何でもつついてあっという間に平らげます。

さて参考までに、雄と雌の比率について紹介します。雌15羽あたり雄1羽という目安で雄を飼うと、ほぼ全ての卵が有精卵となるといわれ、うちでもその指標通りに飼っています。ですが、生き物の世界のことなので、100%とは言い切れませんが…。近所の子供が、夏休みの自由研究で椛島農園の卵を温めて孵したことがありましたが、ほぼ全ての卵にひよこが入っていました。ただ、殻を自分で割って出てこれない弱い個体もいました。生き延びていくという事の重みを感じる出来事でした。

こだわりポイント④

新鮮卵を発送。
クチクラ層をとらず鮮度を大事にしています。

生卵で食べる場合の賞味期限は3週間としています。

生で食べる際、つまり卵かけご飯で食べる時の賞味期限は、3週間としています。実感としては、冷蔵庫に入れていれば1か月くらいは問題ないのですが、万が一があってはいけないし、夏は近年の異常な暑さがあるので、あえて短めに設定しています。期限を過ぎても、加熱調理をすれば美味しく食べられます。

1年を通して、基本的には発送の前々日~当日に生まれた卵をお届けしています。卵の洗浄に関しては、以下のように考えています。

卵にはもともとクチクラ層という膜が表面にあり、雑菌の侵入を防いでいます。ちゃんと温めてひよこになるのも、クチクラ層の力だと思います。洗浄に関してはいろいろな考え方がありますが、うちでは、本来卵に備わっている力を残していくという考えです

そして、そもそも卵が汚れないように、鶏が鶏舎の中の産卵箱の中で卵を産んでくれるように工夫しています。野鳥が狭い巣の中で卵を産むのと同じように、狭く、落ち着く、産卵のための箱を作ってあげるのです。薬品を使う洗浄が必要なく、布で軽く汚れをとるだけできれいな卵をお届けできるような環境整備に努めています。

【椛島農園のこだわり】

【椛島農園について

【 平飼い卵に対する4つのこだわり】

こだわりポイント①

一坪あたり8羽以下。光と風が通る鶏舎で平飼い。
鶏にとって、ストレスの少ない飼い方をしています。

椛島農園では、150羽ほどの鶏を飼っています。150羽と言うと「えっ、そんなに沢山!!」という印象を持たれる方も多いですが、一般的な養鶏場と比べると、ごくごく小規模な、ミニマム規模です。

「人間が食べるために飼っている家畜も、せめて生きている間はのびのびストレスが少ない飼い方ができたらいいなあ」というアニマルウェルフェアの考え方がヨーロッパを中心に普及してきています。この考え方に沿って、椛島農園では、鶏をケージ(かご)に入れずに地面の上を自由に動けるようにして、1坪当たり8羽以下という密度で飼っています。

卵の生産は、効率を重視して機械化し、少人数で何万羽を飼育するという管理方法が一般的です。どうしても「三密」的な環境になってはしまいますが、そのおかげで卵は長年「価格の優等生」と呼ばれ、日本の食卓を支えています。

ただ、そういう一般的な飼い方をされた鶏の卵だけでなく、いろいろな飼い方をされた鶏の卵を消費者の方が選べる世の中であったら素敵だなあ、と思います。うちのビニールルハウスのパイプを利用した手製の鶏舎は、壁4面の金網越しに光と風が入るようにしています。地面には、もみ殻やおがくずを敷き詰めています。鶏糞と混ざって発酵し、臭いはほとんどありません。

畜産の環境は、自然環境とは異なるのはわかっていますが、少しでも自然に近い環境をつくり、生命力みなぎる鶏たちであってほしいと思って育てています。

そのおかげか、卵はとにかくプリプリした卵を産んでくれます。特に産み始めの頃の若い鶏たちが産む卵は、それはそれはなかなかにすごい弾力です。

また、鶏が病気になって薬が必要になったことは、鶏を13年間飼ってきて一回もありません。若い雛の時にかかりやすい肺の病気があるのですが、流行りそうになった時は、ニンニクや酢を使います。150羽の群れのうち、弱い数羽が死ぬことがありますが、それは可哀そうですが仕方がない事だと思っています。

弱い個体が死ぬことを受け入れるという事は、人間に当てはめると人権という観点からはちょっと危ない思想になりますが、「自然に近い形での畜産」を目指すのであれば、やむを得ず、という考えです。いろいろな意味でのバランス感覚を大事にしながら、鶏たちがストレス少なく暮らしていける、という養鶏を目指しています。

こだわりポイント②

こだわりの「100%国産の材料」を自家配合。
野草や無農薬野菜を食べた「レモン色」の卵です。

椛島農園では、トウモロコシの代わりに、小麦や大麦、米を使っています。いずれも熊本県産の物を、購入しています。カビやネズミの害が無いように、タンクに密封して保管しています。他にも、やはり熊本の大豆や、阿蘇の米ぬか、鹿児島や熊本の漁港で水揚げされたカツオの鰹節やイリコ、長崎の塩、広島の牡蠣殻など、国産の材料100%を自家配合して餌を作っています。

日本中の鶏全てにうちのような国産のこだわりの餌を与えようとすると、餌が足りずに飼育できる羽数がとても少なくなってしまいます。国産の餌が理想なのは分かるけど、なかなか難しいのが現実です。なので椛島農園ではまずは自分が子供に食べさせたい、ということの延長で、求めてくださる方に食べていただければいいな、という感じでぼちぼちと養鶏を続けています。

鶏舎の床に敷き詰めたもみがらやおがくずは鶏糞と混ざって発酵して良質のたい肥となり、野菜やお米を育みます。そしてまた、検品ではじいた野菜(全部無農薬です)や田畑や道端の野草・雑草も餌となります。それはそれは美味しそうに食べます。循環の美しさを感じますね。

ところで面白いことに、鶏の卵の黄身の色は、食べた餌の色で決まります。トウモロコシを主原料とする餌と比べて、小麦や米を主原料とする餌だと、どうしても色が薄くなるのです。そして、なぜか日本人は赤みが差している気味の色が好きな方が多いという理由で、市販の卵ではよく赤みを強くするための色素を餌に入れています。昔は化学合成されたものが中心だったそうですが、今は「パプリカの粉末」「カニ殻」などを使っている卵もあると聞いています。

うちでは、草や緑の野菜を多くあげられる時期には、少し色が濃くなります。でも、一般的な卵ほどにはこくなりません。色を濃くするための資材も全然悪いものではないですが、当然コストもかかりますし、うちでは必要ないや、と判断しています。

そんなわけで、うちの卵はちょっと黄身の色が薄めです。でも、「薄い」と言うとちょっと残念な感じがしますが(笑)、いやいやよく見ると、実にきれいな「レモン色」です。レモン色には、いろいろな背景があるということをイメージして手に取っていただけると、嬉しいです。

こだわりポイント③

生命のエネルギーが宿る「有精卵」です。

鶏という生き物の、人とのかかわりは長く濃いです。野生の原種である野鳥は、その名の通り赤色野鶏という鳥で、東南アジアの森の中に今でも生息しています。世界各地で品種改良されながら伝播していき、古代エジプト時代の記録にはすでに鶏を飼ってていたことが書かれています。

鳥というものは年に7-8回も卵を産むというハトのような例外を除いて、どの野鳥も春~初夏の繁殖期に1-2回数個ずつしか卵を産みません。それに比べて、畜産で飼われている鶏は、なんと、年に300個くらいは産みます。そして、不思議なことに、鶏は、交尾をしなくても卵を産みます。人が数千年かけて行ってきた品種「改良」のすごさを感じます。

卵の生産だけを考えた場合、交尾をしなくても卵を産むという事は、雄を飼う必要が無いという事になります。雄は体もおおきく餌代もかさみますし、鳴き声がとても大きくて住宅が隣接するところでは迷惑となるほどです。なにせ、日の出の3時間前から大声で鳴くのです(笑)。

なので、一般的な養鶏場の場合は雄を飼うことはありません。一方で、椛島農園のような平飼養鶏では雄をかっているところが多いです。それはなぜでしょうか…。その理由は養鶏農家さんによっていろいろでしょうが、うちの場合では大きく二つあります。

 

一つ目は、卵が「有精卵」になるからです。21日間、4時間位おきに卵の向きを変えながら、40℃ほどの温度で21日間温め続ければ、ひよこが生まれます。文字通り、生きた卵です。有精卵を食べるという事は、極めて感覚的な表現になりますが、文字通りに命を頂くこと、生命力を自分の体に宿すこと、なのかもしれません。

二つ目は、群れが安定するから、です。ゆったりとした鶏舎で飼うといっても、野生の状態と比べたら密になります。それはもう仕方がありません。なので、もちろんあまり言いたくはないことなのですがそれなりに鶏同士のけんかもあります。若い時はいいのですが、だんだん弱い個体がつつかれたりします。そこで、雄を一緒に飼うことで、群れに秩序と安定感が生まれて喧嘩やつつきあいが減るといわれています。

余談かもしれませんが、一般的な養鶏では、つつきあいが起きないように、くちばしの先端をひよこの時に焼き切ります。うちでは、それを行っていません。物をつついて食べるという行為は、鶏のストレスを減らすためにとても大事なことだからです。人参でもキャベツでもさつま芋でも、何でもつついてあっという間に平らげます。

さて参考までに、雄と雌の比率について紹介します。雌15羽あたり雄1羽という目安で雄を飼うと、ほぼ全ての卵が有精卵となるといわれ、うちでもその指標通りに飼っています。ですが、生き物の世界のことなので、100%とは言い切れませんが…。近所の子供が、夏休みの自由研究で椛島農園の卵を温めて孵したことがありましたが、ほぼ全ての卵にひよこが入っていました。ただ、殻を自分で割って出てこれない弱い個体もいました。生き延びていくという事の重みを感じる出来事でした。

こだわりポイント④

新鮮卵を発送。
クチクラ層を取らず鮮度を大事にしています。
生卵で食べる場合の賞味期限は3週間です。

生で食べる際、つまり卵かけご飯で食べる時賞味期限は、3週間としています。実感としては、冷蔵庫に入れていれば1か月くらいは問題ないのですが、万が一があってはいけないし、夏は近年の異常な暑さがあるので、あえて短めに設定しています。期限を過ぎても、加熱調理をすれば美味しく食べられます。

1年を通して、基本的には発送の前々日~当日に生まれた卵をお届けしています。卵の洗浄に関しては、以下のように考えています。

卵にはもともとクチクラ層という膜が表面にあり、雑菌の侵入を防いでいます。ちゃんと温めてひよこになるのも、クチクラ層の力だと思います。洗浄に関してはいろいろな考え方がありますが、うちでは、本来卵に備わっている力を残していくという考えです

そして、そもそも卵が汚れないように、鶏が鶏舎の中の産卵箱の中で卵を産んでくれるように工夫しています。野鳥が狭い巣の中で卵を産むのと同じように、狭く、落ち着く、産卵のための箱を作ってあげるのです。薬品を使う洗浄が必要なく、布で軽く汚れをとるだけできれいな卵をお届けできるような環境整備に努めています。

【椛島農園のこだわり】

【椛島農園について

平飼い卵に対する
4つのこだわり

こだわりポイント①

一坪あたり8羽以下。光と風が通る鶏舎で平飼い。
鶏にとって、ストレスの少ない飼い方をしています。

椛島農園では、200羽ほどの鶏を飼っています。200羽と言うと「えっ、そんなに沢山!!」という印象を持たれる方も多いですが、一般的な養鶏場と比べると、ごくごく小規模な、ミニマム規模です。

「人間が食べるために飼っている家畜も、せめて生きている間はのびのびストレスが少ない飼い方ができたらいいなあ」というアニマルウェルフェアの考え方がヨーロッパを中心に普及してきています。この考え方に沿って、椛島農園では、鶏をケージ(かご)に入れずに地面の上を自由に動けるようにして、1坪当たり8羽以下という密度で飼っていま

卵の生産は、効率を重視して機械化し、少人数で何万羽を飼育するという管理方法が一般的です。どうしても「三密」的な環境になってはしまいますが、そのおかげで卵は長年「価格の優等生」と呼ばれ、日本の食卓を支えています。

ただ、そういう一般的な飼い方をされた鶏の卵だけでなく、いろいろな飼い方をされた鶏の卵を消費者の方が選べる世の中であったら素敵だなあ、と思います。うちのビニールハウスのパイプを利用した手づくりの鶏舎は、壁4面の金網越しに光と風が入るようにしています。地面には、もみ殻やおがくずを敷き詰めています。鶏糞と混ざって発酵し、臭いはほとんどありません。

畜産の環境は、自然環境とは異なるのはわかっていますが、少しでも自然に近い環境をつくり、生命力みなぎる鶏たちであってほしいと思って育てています。

そのおかげか、鶏たちはとにかくプリプリした卵を産んでくれます。特に産み始めの頃の若い鶏たちが産む卵は、なかなかにすごい弾力です。

また、鶏が病気になって薬が必要になったことは、鶏を13年間飼ってきて一回もありません。若い雛の時にかかりやすい肺の病気があるのですが、流行りそうになった時は、ニンニクや酢を使います。150羽の群れのうち、弱い数羽が死ぬことがありますが、それは可哀そうですが仕方がない事だと思っています。

弱い個体が死ぬことを受け入れるという事は、人間に当てはめると人権という観点からはちょっと危ない思想になりますが、「自然に近い形での畜産」を目指すのであれば、やむを得ず、という考えです。いろいろな意味でのバランス感覚を大事にしながら、鶏たちがストレス少なく暮らしていける、という養鶏を目指しています。

こだわりポイント②

こだわりの「100%国産の材料」を自家配合。
野草や無農薬野菜を食べた「レモン色」の卵です。

椛島農園では、トウモロコシの代わりに、小麦や大麦、米を使っています。いずれも熊本県産の物を、購入しています。カビやネズミの害が無いように、タンクに密封して保管しています。

他にも、やはり熊本の大豆や、阿蘇の米ぬか、鹿児島や熊本の漁港で水揚げされたカツオの鰹節やイリコ、長崎の塩、広島の牡蠣殻など、国産の材料100%を自家配合して餌を作っています。

日本中の鶏全てにうちのような国産のこだわりの餌を与えようとすると、餌が足りずに飼育できる羽数がとても少なくなってしまいます。国産の餌が理想なのは分かるけど、なかなか難しいのが現実です。なので椛島農園ではまずは自分が子供に食べさせたい、ということの延長で、求めてくださる方に食べていただければいいな、という感じでぼちぼちと養鶏を続けています。

鶏舎の床に敷き詰めたもみがらやおがくずは鶏糞と混ざって発酵して良質のたい肥となり、野菜やお米を育みます。そしてまた、検品ではじいた野菜(全部無農薬です!)や外っ葉やくず米が鶏の餌となります。それはそれは美味しそうに食べます。循環の美しさを感じます。田畑の畦の野草・雑草も大好きです。

ところで面白いことに、鶏の卵の黄身の色は、食べた餌の色で決まります。トウモロコシを主原料とする餌と比べて、小麦や米を主原料とする餌だと、どうしても色が薄くなるのです。そして、なぜか日本人は赤みが差している気味の色が好きな方が多いという理由で、市販の卵ではよく赤みを強くするための色素を餌に入れています。昔は化学合成されたものだった中心だったそうですが、今は「パプリカの粉末」「カニ殻」などを使っている卵もあると聞いています。

うちでは、草や緑の野菜を多くあげられる時期には、少し色が濃くなります。でも、一般的な卵ほどには濃くなりません。色を濃くするための資材も全然悪いものではないですが、当然コストもかかりますし、うちでは必要ないや、と判断しています。

そんなわけで、うちの卵はちょっと黄身の色が薄めです。でも、「薄い」と言うとちょっと残念な感じがしますが(笑)、いやいやよく見ると、実にきれいな「レモン色」です。レモン色には、いろいろな背景があるということをイメージして手に取っていただけると、嬉しいです。

こだわりポイント③

生命のエネルギーが宿る「有精卵」です。

鶏という生き物の、人とのかかわりは長く濃いです。野生の原種である野鳥は、その名の通り赤色野鶏という鳥で、東南アジアの森の中に今でも生息しています。世界各地で品種改良されながら伝播していき、古代エジプト時代の記録にはすでに鶏を飼ってていたことが書かれています。

鳥というものは年に7-8回も卵を産むというハトのような例外を除いて、どの野鳥も春~初夏の繁殖期に1-2回数個ずつしか卵を産みません。それに比べて、畜産で飼われている鶏は、なんと、年に300個くらいは産みます。そして、不思議なことに、鶏は、交尾をしなくても卵を産みます。人が数千年かけて行ってきた品種「改良」のすごさを感じます。

卵の生産だけを考えた場合、交尾をしなくても卵を産むという事は、を飼う必要が無いという事になります。オスは体も大きく餌代もかさみますし、鳴き声がとても大きくて住宅が隣接するところでは迷惑となるほどです。なにせ、日の出の3時間前から大声で鳴くのです(笑)。

なので、一般的な養鶏場の場合は雄を飼うことはありません。一方で、椛島農園のような平飼養鶏では雄を飼っているところが多いです。それはなぜでしょうか…。その理由は養鶏農家さんによっていろいろでしょうが、うちの場合では大きく二つあります。

一つ目は、卵が「有精卵」になるからです。21日間、4時間位おきに卵の向きを変えながら、40℃ほどの温度で21日間温め続ければ、ひよこが生まれます。文字通り、生きた卵です。有精卵を食べるという事は、極めて感覚的な表現になりますが、文字通りに命を頂くこと、生命力を自分の体に宿すこと、なのかもしれません。

二つ目は、群れが安定するから、です。ゆったりとした鶏舎で飼うといっても、野生の状態と比べたら密になります。それはもう仕方がありません。なので、もちろんあまり言いたくはないことなのですがそれなりに鶏同士のけんかもあります。若い時はいいのですが、だんだん弱い個体がつつかれたりします。そこで、雄を一緒に飼うことで、群れに秩序と安定感が生まれて喧嘩やつつきあいが減るといわれています。

余談かもしれませんが、一般的な養鶏では、つつきあいが起きないように、くちばしの先端をひよこの時に焼き切ります。うちでは、それを行っていません。物をつついて食べるという行為は、鶏のストレスを減らすためにとても大事なことだからです。人参でもキャベツでもさつま芋でも、何でもつついてあっという間に平らげます。

さて参考までに、雄と雌の比率について紹介します。雌15羽あたり雄1羽という目安で雄を飼うと、ほぼ全ての卵が有精卵となるといわれ、うちでもその指標通りに飼っています。ですが、生き物の世界のことなので、100%とは言い切れませんが…。近所の子供が、夏休みの自由研究で椛島農園の卵を温めて孵したことがありましたが、ほぼ全ての卵にひよこが入っていました。ただ、殻を自分で割って出てこれない弱い個体もいました。生き延びていくという事の重みを感じる出来事でした。

こだわりポイント④

新鮮卵を発送。クチクラ層を取らず鮮度を大事にしています。生卵で食べる場合の賞味期限は3週間です。

生で食べる際、つまり卵かけご飯で食べる時の賞味期限は、3週間としています。実感としては、冷蔵庫に入れていれば1か月くらいは問題ないのですが、万が一があってはいけないし、夏は近年の異常な暑さがあるので、あえて短めに設定しています。期限を過ぎても、加熱調理をすれば美味しく食べられます。

1年を通して、基本的には発送の前々日~当日に生まれた卵をお届けしています。卵の洗浄に関しては、以下のように考えています。

卵にはもともとクチクラ層という膜が表面にあり、雑菌の侵入を防いでいます。ちゃんと温めてひよこになるのも、クチクラ層の力だと思います。洗浄に関してはいろいろな考え方がありますが、うちでは、本来卵に備わっている力を残していくという考えです

そして、そもそも卵が汚れないように、鶏が鶏舎の中の産卵箱の中で卵を産んでくれるように工夫しています。野鳥が狭い巣の中で卵を産むのと同じように、狭く、落ち着く、産卵のための箱を作ってあげるのです。薬品を使う洗浄が必要なく、布で軽く汚れをとるだけできれいな卵をお届けできるような環境整備に努めています。

-椛島農園のこだわり-

-椛島農園について-